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    インドネシアの人口ボーナスについて

    経済成長する国と経済低迷する国。
    この違いはいったい何か考えたことはあるでしょうか?
    ひとつの考え方で人口の観点から紐づけできることがあります。

    インドネシアの現在、「人口ボーナス」

    日本の現在、「人口オーナス」

    このワードから説明したいと思います。

    「人口ボーナス」とは?

    ハーバード大学のデービット・ブルーム氏によると人口ボーナス期は「若者の比率が高く、高齢者の比率が非常に少ない人口構造の状態」を指します。この人口比率にある国は、安い労働力があふれることで、早く・安く・大量に仕事をこなして世界の市場を凌駕する事が出来ます。かつ一方では、社会保障費が極めて低く、国として儲かったお金は全てインフラ投資へ回すことができるので、爆発的な経済発展が実現できます。

    具体的に言えば、生産年齢人口(15~64歳)が従属人口(14歳以下と65歳以上の人口)よりも大きく上回る状態です。

    ※従属人口指数(じゅうぞくじんこうしすう)の指数
    生産年齢人口(15~64歳人口)が年少人口(15歳未満人口)と老年人口(65歳以上人口)をどれだけ扶養しているかを示した指数。

    人口ボーナスの具体的定義は3つあります。

    ・生産年齢人口が継続して増え、従属人口比率の低下が続く期間
    ・生産年齢人口が従属人口の2倍以上いる期間
    ・従属人口比率の低下、又は、生産年齢人口比率の増加、かつ生産年齢人口が従属人口の2倍以上いる期間

    私達が住む日本も、かつて「人口ボーナス」だった時代があります。

    1950年代、日本は、子どもの人口が多く、それに比べて労働力人口が少なかったため、経済はあまり発展しない時期でした。
    ただ、その子どもたちが成長して労働力となる1960年代からは、安価な労働力を武器に世界中から仕事を受け、経済的に大きく成長しました。
    この時期を「高度経済成長期」と呼んでいます。
    日本がこの人口ボーナス期だったのは、ちょうど1960~1990年半頃までです。

    この人口ボーナス期に日本は、若くて安価な労働力を大量に抱えていたこと、そして従属人口が少ないため、教育費や社会保障費の負担が少ない状態だったのです。
    そのため国家予算を経済政策に集中でき、他国からの投資を呼び込めるので、経済が活性化しました。
    第2次世界大戦後に東アジア諸国が「奇跡」とも呼べるような経済発展を遂げたことがこの人口ボーナスの定義を証明しています。

    「人口オーナス」とは?

    オーナスとは、負担、重荷という意味ですが、人口ボーナス期の逆の意味で「人口オーナス」と言います。
    少子高齢化が進み、生産年齢人口(15~64歳)に対する従属人口(14歳以下の年少人口と65歳以上の老年人口の合計)の比率が上昇することで社会保障費などがかさみ、経済成長を阻害することを指します。
    一般的に、人口ボーナス期で経済発展に成功した後、「支えられる人」が「支える人」を上回り、消費や貯蓄、投資が停滞します。

    独立行政法人日本貿易振興機構によると、ここ日本の人口ボーナス期は2005年には終了したと言われており、その後は、少子化による労働人口の減少と高齢者人口の増加が始まりました。
    日本は今、この人口オーナス期なのです。
    日本のほか、イギリス、ドイツ、フランスなどの先進国がいずれも人口オーナス期にあると言われています。
    人口オーナス期に苦しむ日本は、今後どのように進むべきなのでしょうか?

    人口ボーナスの主役はインドネシア

    さてインドネシアの人口は、増え続けています。
    1980年には約1億4,700万人でしたが、2020年には2億7,350万人になりました。
    10億人を超える中国やインドには及ばないものの、日本と比較すれば約2倍弱にも達し、世界第4位の人口大国でASEAN10カ国域内の約4割をも占めています。
    さらに予想によると、2030年代には3億人突破見込、そしてインドネシア人口のピークは2065年頃で、約3億3,700万人に達すると言われれています。

    (総務省統計局「世界の統計2022」)

    順位 国名 推計人口
    1 中華人民共和国(中国) 1,439,324
    2 インド 1,380,004
    3 アメリカ合衆国(米国) 331,003
    4 インドネシア 273,524
    5 パキスタン 220,892

    インドネシア最新の人口: 279,134,505

    かつての日本がそうだったように、インドネシアは、生産年齢人口(15~64歳)の総人口に占める割合が上昇していく人口ボーナス期の真っ只中にいます。

    どの先進国も辿ってきた道と同じ、総人口における生産年齢人口の割合が高まれば、豊富な労働力が経済活動を活発にするだけでなく、教育や医療、年金などの社会福祉負担が少なくなり、資金を新しいビジネスに回すことができるようになりので、このように人口ボーナス期にある国が経済成長する仕組みとなっています。
    またインドネシアの平均年齢が29歳と労働人口が若いのが特徴です。(日本は46歳)

    その経済の発展に伴い中間所得層が増えています。
    2009年に中間所得層が8000万人(全人口比35%)、低所得層が1億5000万人 だったのが、2015年には中間所得層と低所得層の人口が逆転、さらには、2020年には中間層が1億9000万人と全人口に占めました。
    実に中間所得層が割合が73%に達する勢いです。
    インドネシアにおける、この生産年齢人口の層の厚さは、海外の国にとっても魅力的なものとなっています。

    各世代の割合

    インドネシアの各世代の割合です。

    X世代 :1965年~1980年生まれ(2022年現在42歳~57歳) 約5,865万人で総人口比21.88%
    Y世代ミレニアル世代:1981年~1996年生まれ(2022年現在26歳~41歳)約6,938万人で総人口比25.87%
    Z世代:1997年~2012年生まれ(2022年現在10歳~25歳)約7,549万人で総人口比27.94%

    インドネシア人口チャート 

    地域別人口構成では、ジャワ島に人口の56.1%にあたる1億5,159万人が集中。
    このほかスマトラ島(21.9%)、スラウェシ島(7.4%)、カリマンタン島(6.2%)、バリ・ヌサトゥンガラ地域(5.5%)、マルク・パプア地域(3.2%)

    この世界第4位の人口、2030年代まで続くとみられる人口ボーナスこそが、経済の高成長を支える大切な指標となるでしょう。
    現在のインドネシアはちょうど日本で言うところの高度経済成長時代に差し掛かってきている状況です。
    さらにはインドネシアは2045年にGDPで世界トップ5入りする目標を掲げており、様々な政策を打ち出しています。
    マーケットとしての可能性が大きいことがわかるのが、この人口ボーナスです。

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