住む
インドネシアの国民性
世界にはさまざま国がありますが、その国ごとの「国民性」があり、共通の価値観や特徴、アイデンティティがあります。
例えば、日本の国民性である「おもてなしの精神」は東京オリンピック2020を通して世界に向けて発信し、とても有名になりました。
海外から訪れるゲストに心地よい滞在をしてもらい、思い出に残る体験を経験してもらうという精神は、近年のインバウンドで外国人旅行客の方が多く日本に訪れる要因の1つとも言えます。
また、アメリカ合衆国では自由の女神が象徴するように「個人の自由」が国民性の1つとして掲げられます。
そのため、「個人の自由=個人の責任」でもあるため「一人一人の成功するためのチャレンジ精神」がとても重要視されています。
では、インドネシアにはどのような国民性があるのでしょうか?インドネシアという国のことはよく耳にするけど、インドネシアの人々について意外と知られていないことが多いのではないでしょうか。
そこで、今回はインドネシアの国民性について詳しく紹介していきます。
インドネシアは正式名称は「インドネシア共和国」といい、東南アジア南部の約18,000もの島からなる国です。赤道近くに位置しているため、一年中熱帯気候で暖かいです。
首都はジャワ島にあるジャカルタで、国土面積は日本の約5倍あります。人口は約2.7億人で多様な人種、宗教が混在しているので公用語はインドネシア語ですが、公用語以外に500以上の言語が話されています。
このように温暖な地域に位置していることや、多様な人種、宗教が混在していることがインドネシアの国民性に関わってきています。
それでは、いくつか代表的なインドネシアの国民性についてみていきましょう。
Contents
性格
明るくポジティブ思考
インドネシア人は基本的に明るくフレンドリーな性格をしていて、常に笑顔で目が合うとニコリと微笑み返してくれる人が多いのも特徴です。
インドネシアに移住する人がはじめに学ぶ「tidak apa apa」(ティダアパアパ)という言葉があります。インドネシア語で「気にしなくて大丈夫」という意味の言葉ですが、インドネシア人は毎日のようにこの言葉を口にします。
少しのことは気にしない、とても寛容でおおらかな国民性の表れでもあります。
また、インドネシアは貧困ではあるものの、過去数十年間で貧困率は大幅に改善されています。国全体で経済や社会の発展を目指しているので、将来への希望もあるため国民全体がポジティブ思考を生み出す要因となっています。
のんびりしている
インドネシア人は非常にのんびりしている性格をしていると言われていて、「時間を守る」という概念があまりありません。
その根底には「jam karet(ジャムカレット)」という考え方があります。
「jam karet(ジャムカレット)」という言葉は「ゴム時間」という意味があり、時間はゴムのように長く伸びるというイメージを持っています。
そのため、10時は10時〜10時59分ぐらいの幅があり、例えば、10時からのミーティングがあるとしても1時間くらい来ないことはよくあることです。
しかし、近年ではSNSやスマホが普及しているため、連絡を取ることが容易になったためゴム時間が30分程度まで縮まってきている傾向にあります。
また、お願いしたことは気前よく引き受けてくれるのですが、なかなか事が進まないことが多く、お願いした側が何度も催促しなくてはいけない場合もあります。
大体の人は大まかな予定しか立てないので、インドネシアの人たちと約束するときはこの「jam karet(ジャムカレット)」という概念を頭の片隅に置いておきましょう。
人前で叱られることが苦手
インドネシア人はとてもポジティブな精神を持っているのですが、イスラム教では怒ることは悪いこととされているため、人前で叱られるのを好みません。
文化的に侮辱されたと捉えられることが多いので気をつけなくてはいけません。
もし、人前で怒ってしまうと怒っている側が周囲から反感をかい立場が悪くなってしまう場合もあります。職場などで注意したい時は、こっそりと人がいないところに呼び出してから話をしましょう。
宗教
宗教を尊重する
イスラム教徒が国民の約85%を占めているため、特にイスラム教の行事が大切にされています。例えば、イスラム教には1日5回のお祈りがありますが、就業時間中にイスラム教徒の人がお祈りの時間を持つことが認められているケースが多いです。
また、1年に1度イスラム暦の9月に4週間のラマダンという断食期間があります。
断食は日の出から日没までの期間なので、ラマダンに合わせて就業時間を縮小したり調整したり配慮します。
ハラル
イスラム教では、日常生活で口にするものや身につけるものが決められています。
その許可されたものを「ハラル」、そうでないものを「ノン・ハラル」といいます。
インドネシアでもイスラム教徒が国民の大半を占めているため「ハラル」は重要視されています。2014年にはハラル法も法制化し、ハラル規制機関が管理しています。
では、どのような物が「ハラル」なのでしょうか?
まず、食品や飲み物です。これらのものにはハラルであるかどうかを示す「ハラル認証マーク」が使用されています。
このマークがあると、イスラム教の教えにそって調理、処理されているので安心して手に取ることができます。
また、レストランではハラルな食品を提供するためには「ハラル認証」を受ける必要があります。豚肉やアルコールは「ノン・ハラル」とされているので、これらの食材を使用しないことはもちろんのこと、調理用具、調味料などに対してもイスラム教の教えにそった物を使用します。
そして、ハラル認証機関による、審査が行われ、ガイドラインに準拠しているかどうかをチェックし、許可が降りれば「ハラル認証マール」のレストランとして営業することが認められます。
インドネシアにレストランを出店する際は「ハラル」の考え方をしっかり理解し、インスラム教の教えに配慮したメニューを提供するよう心がけましょう。
参考URL
多様性を受け入れる
インドネシアでは無宗教の人はほとんどいません。国の法律で無宗教であることが認められていないからです。また、婚姻関係を結ぶとなると、同じ宗教以外は認められていないケースが多く、どちらかが改宗する事になります。
ですが、宗教が異なる同士でも、お互いの宗教を尊重し合っています。
インドネシアはさまざまな多民族、多文化が入り混じっていて、相手と有効的な関係を築くことを重視しています。それは、訪問者や旅行者に対しても同じで、歓迎し、思いやりのある対応をしているため温かい雰囲気から「何度も訪れたい」と感じる方が多いのかもしれません。
特徴
お互い様の精神
インドネシアでは「ゴトン・ロヨン」という相互扶助の精神、つまり「お互い様の精神」とがあります。共に悩み、喜びを分かち合う精神を大切にし、周囲と良好な関係を築き、協力して問題を解決することで、強い結束が生まれ困難な状況でも共に乗り越えられるような状況に発展していきます。
この「ゴトン・ロヨン」の考え方はインドネシア社会ではとても重視されていて、農村地域では周囲の人々が集まって農作業を行います。一緒に耕し、種まきを行い協力的に作業を進めることができます。
また、インドネシアの人々は災害があると政府などと協力し、被災地の支援に積極的に取り組んでいます。
2004年のスマトラ沖地震と津波があった際は、多くの地域の住民や学生がボランティアとして集まり、ゴトン・ロヨンの精神に基づいた支援活動が展開されました。
親日国家
日本の映画「おしん」がインドネシアでとても人気があり、漫画、アニメも人気があります。車やバイクなども日本製のものが多く、インドネシアにとって日本は身近な存在です。
インドネシアの人々は基本的には日本に対して友好的に接してくれます。
また、2020年時点で1959社の日本企業がインドネシアに進出しており、就職先として日本企業を選ぶインドネシアの人々も少なくありません。
元々、オランダからの独立戦争の時に日本軍がインドネシア軍に味方をした時から、インドネシアの現在の親日に繋がっていると言われています。
また、日本は長年に渡りインドネシアに政府開発援助による経済的援助を行い、特に鉄道インフラは重点的に支援しています。
そのため、日本に興味があり、インドネシアから日本へ行きたいと考える人も少なくありません。
参考URL
https://www.jetro.go.jp/world/asia/idn/basic_01.html
まとめ
それぞれの国民性にはその国の地理的要因や歴史的要因が色こく反映されています。
日本とインドネシアとは異なる価値観があるので、はじめは戸惑うかもしれません。
しかし、インドネシアの人々はスローペースで穏やかな性格で、明るく思いやりを持って接してくれます。
インドネシアでのビジネスの可能性を広げるためにも彼らの国民性や宗教的背景を知ることは重要です。
私たちは日本企業のインドネシアへの進出を10年に渡りサポートしています。
インドネシアに進出をご検討の企業様はぜひ一度ご相談ください。