インドネシアのインターネット事情

    広大な地域と多様な文化を背景に持つインドネシアでは近年、インターネットが急速に普及しました。インターネットの普及は経済発展の基盤となり、インドネシア社会の変革期の鍵となっています。

    今回は、インドネシアでのインターネット事情にスポットを当ててご紹介し、国内外に及ぼす影響について深掘りしていきます。

    インドネシアでのインターネット普及の現状

    インドネシアでは、2022年には820万人程度だったインターネットユーザー数が、2023年には約2.5倍の約2億1290万人となり、インターネット普及率は77%に達しました。この数字からインドネシアにおいて急速にインターネットが普及してきたということがわかります。
    また、モバイルの所有率もソーシャルメディアの利用者数もどんどん増加し、インドネシアの人々の生活にもインターネットが必要不可欠となってきています。

    モバイル

    インドネシアのモバイルの接続数は約3億5380万に達しており、これはインドネシアの総人口の約130%に相当します。この数値は、インドネシアの多くの人々が個人用と仕事用に別々のモバイルデバイスを利用することが増えてきている現状を反映しています。


    モバイル市場の活況は、多くのメーカーがインドネシアでシェアを拡大している状況からも明らかです。特に中国の電子機器メーカーの「OPPO」「Xiaomi」、香港に拠点をおく「Infinix」などといったブランドが提供する低価格帯のデバイスが幅広い顧客層から支持を集めています。


    このモバイル事情は、インドネシアの国の経済成長を強力に後押しし、社会生活やビジネスにおいて中心的な役割を果たしていることを示しています。

    ソーシャルメディア

    世界の人たちと繋がることができるソーシャルメディアですが、インドネシアにおいてもテクノロジーの進化と国のデジタル化と共に発展してきています。2023年時点では総人口の約60%に相当するユーザーがソーシャルメディアを利用しているということからも、デジタルコミュニケーションが広く浸透していることがわかります。

    インドネシアにおけるソーシャルメディアの歴史は意外と古く、インターネット初期の段階からMyspaceなどのプラットフォームがすでに存在し、オンラインでの繋がりを楽しむ人々がいました。しかし、インターネットの普及が進んでいなかったため、限られた層だけに止まっていました。
    2000年代半ばにはFacebookやX(旧:Twitter)が登場すると、インドネシアのソーシャルメディアの利用者数は一気に急拡大しました。
    2010年代には、インターネット接続の改善とスマートフォンの普及により、Instagramなどのモバイル中心のプラットフォームが人気を集めました。さらに、近年はTikiTokのような新しいソーシャルメディアが若い世代の間で人気を博しています。

    現在、YouTuberやインフルエンサーのようにソーシャルメディアを仕事にする人たちも登場し、ますますインドネシアにおける重要なプラットフォームへと進化を続けています。
    これらの動きはインドネシアのデジタル文化と経済の発展において重要な役割を果たしており、今後もその影響力は拡大することが予想されます。

    インターネット速度

    インドネシアにおけるインターネット速度は近年大きな変化を遂げました。
    かつてはとても低速であったインターネットですが、インドネシア政府と通信事業者は国内のインターネットインフラを拡張し、改善を積極的に行うことで顕著な改善をみせています。
    2023年と前年度を比較すると、モバイルインターネット速度は9.2%、固定インターネット速度は20.8%改善され、飛躍的に進歩を遂げていることがわかります。

    また、インドネシア政府は都市部だけでなく農村部や離島地域でも、高速なインターネットを利用することができるように積極的な投資を行っています。


    このインターネット速度の向上は日常生活やビジネスにおいても質を高めています。
    動画ストリーミング、オンラインゲーム、ビデオ会議などが快適に利用できるようになったことで、オンライン教育やリモートワークの可能性が広がり、子商取引やデジタルマーケティングの分野で新たなチャンスが生まれました。

    インターネット普及による課題

    インフラ整備

    インドネシア政府はインフラ整備に積極的に投資し、インターネット速度はかなり改善されました。
    以前はインターネットは非常に低速で、接続が落ちるのが当たり前という時代もありましたが、近年ではインフラ技術の進化により多くの人がストレスなくインターネットを使用することができるようになりました。

    しかし、この進化に伴い新たな課題が浮上しています。特に、人口密集地や商業地区などでは利用者の急増によるネットワークへの過負荷が問題となっています。
    アクセスする人が増えると、インターネット速度の低下や接続が途切れてしまうなどの現象が起きてしまうなど、この問題についてはまだまだインフラ整備が追いついていません。


    また、インドネシアの全ての地域でインフラ整備が進んでいるわけではないため、今後はインドネシア全土において安定したインターネット速度を提供することが課題となっています。

    デジタル格差

    都市部ではインターネットが急速に普及する一方、農村部ではまだまだインフラ整備が進んでいないため、安定したインターネット環境を手に入れることが難しくあります。

    また、急速にインターネットが普及したため、ネットリテラシーの教育が間に合わずセキュリティリスクを理解しないままインターネットを使用している人が多くいます。そのため、パスワード管理が不十分であったり、ビジネスのツールとして使用することができずデジタル人材の少なさは深刻な問題となっています。

    デジタル格差をなくすためにも、インフラの強化やネットリテラシーとスキル向上のための教育など、インドネシアでは急ピッチで対策が進められています。

    フリーWiFi

    インドネシアでは近年フリーWiFiの整備が進んできています。特にインドネシアのジャカルタや観光地として人気のあるバリ島などでは、対応エリアも年々拡大し、フリーWiFiを使える場所が増えてきています。

    しかし、フリーWiFiは気軽に利用できる一方、パスワードが保護されていないWiFiも多数存在するため個人情報流出などのリスクには十分注意する必要があります。

    また、接続がしばしば不安定であり、速度も遅く、接続が頻繁に切れてしまうこともあります。

    現地に視察や出張へいく場合は、ポケットWiFiのレンタルや現地の空港やショップでSIMカードを購入するなど、事前に対策を考えていきましょう。

    サイバー犯罪

    2022年には8831件のサイバー犯罪がインドネシア国家警察によって報告されました。データ盗難、フィッシング詐欺、不正アクセスなどが多発し、これらのサイバー犯罪は深刻な問題であり、早急に対策を打つ必要があります。
    サイバー犯罪が増えた要因は、インターネットユーザーの増加です。
    インドネシア政府ではサイバー犯罪問題に対処するために、サイバーセキュリティ対策を強化し、データ保護法などの整備を進めています。

    また、インターネットユーザー自身もセキュリティ意識を高め、サイバー犯罪に引っかからないようにネットリテラシーを高める必要があります。

    インドネシアとインターネットの未来と展望

    Indonesia High Resolution E-Commerce Concept

    インドネシアは30歳までの人口が約52%と非常に若者が多い国でもあります。

    そのため、インターネットの拡大は経済発展や消費活動の促進に直結すると言っても過言ではありません。

    eコマース

    近年、eコマース市場が急拡大しており、インドネシアの人口の70%を占める中間所得層の消費に大きな影響を与えています。越境EC市場も注目を集めていて、もともと新日国であったインドネシアでは日本製品の需要も高くなってきています。

    5G技術

    5Gの登場により、高速データ通信が実現し動画のストリーミング、オンラインゲーム、ビデオ通話がリアルタイムでスムーズに行えるようになりました。

    さらに、インドネシアではバーチャルの世界や自動運転などの先端技術の実用化に向けて5Gの技術が活用されています。


    2030年には約3億人の5Gユーザーが見込まれており、5Gの技術はこれからのインドネシアのデジタル発展に無くてはならないものです。


    AI技術

    AIはインドネシアのあらゆる分野で積極的に活用されています。
    例えば教育分野では、ユーザーが問題の写真をとってアップロードすると回答と解決方法を提供してくれるサービスや、各学生に合わせた効率的かつ効果的な学習方法を提案するなどAIを取り入れたオンライン学習サービスが普及してきています。
    また、カスタマーサービスにおいてもAIが利用され、リアルタイムで顧客支援を行うチャットボット技術を提供する企業なども出てきています。

    まとめ

    いかがでしたでしょうか?
    インドネシアにおいて、インターネットは生活の一部としてだけでなく、ビジネスのツールとしても必要不可欠となっています。また、AI分野においても注目度が高く、経済発展の基盤を支える役割を果たすことが期待されています。

    私たちは日本企業のインドネシアへの進出を10年に渡りサポートしてきた経験に基づき、常にアンテナを張り、現地の最新情報が常に入ってきています。
    インドネシアではインターネットの普及により新しいビジネスチャンスがたくさん眠っています。もし、インドネシア進出をご検討の企業様はぜひ一度お気軽にお問合せください。

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